お役立ち情報 住まいを貸す

第1章 住まいを貸す(賃貸住宅経営)とは

住まいを貸す場合(基本)

一時的に自宅を使用しない場合や、売却するよりも賃貸した方が良いと判断した場合、住宅を貸すことになります。建物を賃貸すると賃料収入が発生しますので、その収入に対して所得税や住民税がかかります(一定規模の賃貸事業になると事業税もかかります)。売却した方が良いのか、賃貸した方が良いのかは、想定売却価格や家賃相場などから判断することになります。素人では難しい判断ですので、地域に精通した不動産会社に依頼するのが良いでしょう。

賃貸住宅経営のメリット

土地をただ保有しているだけでは収益力がなく、固定資産税等の支払いは完全に持ち出しになってしまいます。そこで、収益力を生み出すために賃貸住宅を経営するというのが、一つの方法です。収益力は、建築する賃貸住宅の形態や特性、賃料設定などによって変わってきます。地域に精通した不動産会社と相談して、綿密に計画を立てたほうが良いでしょう。

賃貸住宅経営にかかる税金

賃貸住宅経営による所得は「不動産所得」となり、他の給与所得や事業所得などと合算して確定申告することで課税(所得税・住民税・事業税)されます。「不動産所得」は、賃貸住宅経営による総収入額から必要経費を差し引くことによって算出します。

第2章 引越しの段取り

物件概要を確認する

既存物件について「空室が多くて困っている」「安心できる入居者に貸したい」といった場合は、不動産会社に管理を委託したほうが良いでしょう。依頼を受けた不動産会社は、物件の所在地や種類・構造・築年数・間取タイプ、希望賃料などを調査し、最適な条件の下で賃貸住宅経営が運営できるようにサポートしてくれます。

現地と登記を確認する

不動産会社は、物件の内・外部や付属施設、周辺の公共施設や環境、交通機関、周辺の類似物件の賃料などを調査します。調査結果から、リフォーム提案や、賃料改定のアドバイスなどをしてくれます。また、登記事項証明書等で所有権以外の権利関係の有無を確認します。

空き地等を活用して賃貸住宅を建設する

空地や駐車場など、資産の有効活用として賃貸住宅を建設したほうが有利と判断できる場合があります。このような場合は、不動産会社にコンサルティングを依頼します。不動産会社は土地所有者の意向を確認の上、対象地を調査します。そして、法制面の規制や収支・将来の経済環境の変化の予測などを行い、具体的な事業計画案を作成します。この計画内容について合意が成立したら「基本協定」を締結し、事業を実施していくことになります。事業実施に当たっては、敷地の測量や地質調査など、専門会社に調査を依頼する事項が発生するので、あらかじめ業務委託契約を締結し、調査に要する費用負担や支払時期などの諸条件を決めておくと良いでしょう。

第3章 入居者を募集する

適正な家賃

適正家賃の算出方法には、「積算」「比較」といった2つの方法が用いられています。「積算」とは、賃貸住宅建設に必要な費用(土地の購入費用や建設費用)を積み上げ、そこから月額家賃を算出する方法です。「比較」とは、周辺に所在する類似した物件の家賃をいくつか調査し、立地や築後経過年数などから修正し、月額家賃を算出する方法です。適正家賃の設定には、物件が持つ固有の要素や相場などを加味することが必要不可欠です。そうした情報に詳しい地元の不動産会社に賃料の査定を依頼するのが、一番良い方法でしょう。

募集要項を設定する

例えば、入居者の条件を「学生限定」にすると、「連帯保証人がしっかりしており稼働率が良い」などの効果があります。しかし、入居者層を限定してしまうというデメリットもあるので慎重に検討する必要があります。ペットや楽器の演奏については、供給物件数が少ないので競力は高くなる傾向にあります。また、入居時の一時金(敷金・礼金)の設定で競争力を高める方法もあります。

契約条件を設定する

賃貸条件について、普通借家契約にするのか定期借家契約にするのかを決めます。 普通借家契約にすると、契約期間を設定しても入居者から更新を求められると、家主側には、正当の事由(自らが居住する必要があるなど)が認められないと更新を拒絶することができません。定期借家契約にすると、家主に正当事由がなくても賃貸借期間の満了で契約が終了し、建物を明渡してもらうことができます。定期借家契約とするためには、借地借家法に定める要件をすべて満たす必要がありますので、不動産会社にアドバイスを求めるほうが良いでしょう。

第4章 不動産会社に依頼する

媒介契約の種類

依頼を受けた不動産会社が空室の入居者募集・斡旋を行い、賃貸借契約をまとめる仕事が「媒介・仲介業務」です。不動産会社の報酬は媒介・仲介手数料です。そして、「媒介・仲介業務」の他、日常的な建物のメンテナンスやクレーム処理、退去や更新などの業務を行うのが「管理業務」です。この場合には、管理料が別途報酬として発生します。

賃貸借「媒介」契約は、入居者の募集・斡旋業務を不動産会社に依頼するものです。
賃貸借「代理」契約は、特定の不動産会社に代理権を与え、入居者の募集・斡旋業務から契約の締結に至るすべての業務を貸主の代理人として行ってもらうものです。

管理委託契約は、入居者の募集・斡旋・契約業務のほか、清掃・メンテナンスなどの管理業務全般を特定の不動産会社に依頼するものです。また、入居者募集・斡旋業務と契約更新・解約などの管理業務の一部を不動産会社に依頼する一部委託型もあります。

管理業務の内容

賃貸住宅経営に関する必要なすべての仕事が「管理業務」です。入居者募集・斡旋業務に関する業務は、家賃の設定と入居者の募集・斡旋、物件情報の提供と物件案内、入居審査、賃貸借契約書の作成・管理、契約の締結です。
管理業務は、入居者への各種の説明・指導、クレーム処理、共用部分の清掃・メンテナンス、建物および設備機器の管理・修理、家賃の集金や滞納の督促です。契約解除・退去に伴う業務は、解約手続きと明渡し、室内点検・リフォーム、敷金の精算です。契約の更新業務は、家賃や賃貸条件の改定、更新処理です。

第5章 入居者を選ぶ

入居者の基準を設ける

物件のグレードや間取タイプ、立地条件、環境、物件の既存入居者の特徴などにより、入居者層を限定したほうが良いのかといった基準が生じてきます。この基準をできるだけ明確にすることで、入居希望者が基準に適しているかを判断でき、審査がより的確に行えます。

資格要件の確認

これには3つのポイントがあります。

  1. 1.転居の理由
    転居の動機を確認することで以前の居住状態や共同住宅で生活していけるかどうかの判断ができます。
  2. 2.身元および人柄などの確認
    入居申込書に記載された内容から確認します。調査・確認には、住民票での確認や勤務先に照会するなどの方法があります。ただし、こうした確認は事前に不動産会社から入居希望者にその旨を説明してもらった上で行うなどの配慮が必要です。連帯保証人の身元確認も同様です。
  3. 3.収入面の確認
    会社員の場合、源泉徴収票により確認することになりますが、場合によっては納税証明書により収入実績を確認することになります。

不動産会社に管理を委託していると、上記のような入居者の情報が不動産会社から報告されることになります。

入居可否の通知

入居可能な場合は、契約締結日、契約の時間・場所、必要書類などについて入居希望者に通知し、手続きを進めます。入居不可の場合は、入居申込書などの取扱いに注意が必要です。入居不可の旨の文書を送付するとともに、事前に受領している書類を入居希望者のプライバシー保護のために返還することが必要です。

第6章 契約を結ぶ

入居者に用意してもらう書類

契約にあたって入居者に用意してもらう書類は、入居申込書の記載内容を証明するものということになります。住民票、収入証明書(源泉徴収票か納税証明書)、保証人の承諾書、保証人の印鑑証明書、学生であれば学生証、場合によっては、保証人の収入証明書が必要になります。

契約書のポイント

賃貸借契約の締結に当たっては、まず、契約当事者が契約締結権限を有しているかどうか確認する必要があります。入居当事者が未成年など制限能力者である場合、契約そのものは有効ですが、後で取り消されることもありますから、保護者などの同意や連帯保証を得ておくべきでしょう。
入居者に同居人がいる場合は、人数や続柄を把握しておく必要があります。当事者および同居人以外の第三者が入居した場合には、無断転貸として争うことがあるためです。家賃の支払時期や、契約締結時や解約時に1ヵ月未満の端数が生じる場合の処理、賃料改定に関すること、修繕に関する取り決めなど、契約書には記載しておくべきことが多数あります。契約書の内容は、媒介(管理)を委託している不動産会社と相談して決めたほうが良いでしょう。

第7章 その他

滞納家賃を督促する

家賃を滞納されてしまうと賃貸住宅経営を事業として行っていくことはできません。
家賃滞納では迅速な対処が肝心です。まずは、電話や書面で支払いの実行を促し、その後は訪問し直接会って支払いを求めます。こうした督促行為でも駄目な場合は、法的措置を取ることになります。

トラブルへの対処

ゴミの出し方や騒音については、近隣住民や行政からもクレームになります。適切・迅速に対処しましょう。

更新手続き

契約期間が満了になると更新手続きを行います。手続きを行わなくとも契約を継続することはできますが(これを「自動更新」という)、その場合、期間の定めのない契約になります。
更新時に家賃を値上げするには、「土地や建物の価格変動や経済事情の変動」「近隣の建物と比較して家賃が不相応になった場合」などの明確な根拠が必要です。これを十分に調査、説明することは専門的な業務になりますから、不動産会社に依頼する方が良いでしょう。

退去手続き

入居者から解約の連絡を受けたら退去の手続きを行います。日割家賃など解約条件を説明するとともに、引越し日が確定したら正式な解約の申入れを文書で行うよう伝えます。移転先は、郵便物が配達可能な住所か確認します。移転先の電話番号が確定していない場合は、確定後、速やかに知らせてくれるように依頼しましょう。入居者が設置したエアコンの取り外しや引越しの際のゴミの処理方法、引越し期日までに各種公共料金を精算してもらうことなども説明します。また、預かっている敷金の額を確認し、未払い家賃や原状回復費用との相殺を検討します。
退去時の原状回復はトラブルとなることが非常に多い問題ですので、この業務は不動産会社に依頼し、入居者との立会いを行ってもらうことが望ましいでしょう。

新しい入居者を募集

新たな入居者を募集するに当たっての希望条件や修繕工事の内容を検討します。
場合によっては、リフォームを行い、競争力を高めることも必要です。