2025.06.24住まいのヒント
家を建てるとき、多くの方が気にするのは「立地」や「間取り」、「価格」といった目に見える部分です。でも実は、長く安心して暮らすためには「地盤」の状態も重要です。
地盤が弱いまま家を建ててしまうと、どれだけしっかりした構造でも、建物が傾いたり、壁にひびが入ったりするなど、深刻なトラブルを招くことがあります。
今回は、土地を購入する前や、住宅を建てる前に知っておきたい「地盤改良」について、基本的な知識と注意点をわかりやすくご紹介します。
住宅は、建物そのものの強さだけでなく、それを支える地盤の強さもとても大切です。
もし地盤がやわらかいまま建ててしまうと、「不同沈下(ふどうちんか)」といって、家の一部だけが沈み込んでしまう現象が起こることがあります。
これが起きると、ドアが閉まらない・窓が開かない・床が傾く…など、日常生活にも大きな支障が出ます。しかも、補修には大きな費用がかかるケースも少なくありません。
特に注意が必要な土地は以下のような場所です。
・もともと田んぼや畑だった土地
・河川や埋立地の近く
・周囲に傾いた建物が見られる地域
こうした土地では、建てる前に「地盤調査」を行い、必要に応じて地盤改良を行うことがとても重要です。
建てる前の土地に、地盤の強さに問題がないかどうかを調べるのが「地盤調査」です。
一般的なのは「スクリューウエイト貫入試験方法(SWS試験)」という方法で、鉄の棒(ロッド)を回転させながら地面に挿し込み、地層のかたさを測定します。
この結果をもとに、建築基準に照らして「このままで家を建てていいか」「補強が必要か」を判断します。
調査自体は1日で終わることがほとんどで、費用はおおよそ10万円前後です。
地盤調査の結果、「地盤改良が必要」と判断された場合、以下のような方法で土地を補強します。
・表層改良工法
地面から2メートルくらいまでの土に、セメント系の固化材を混ぜて地盤をかたくする方法です。浅い地盤に適していて、コストも比較的抑えられます。
・柱状改良工法
ドリルで地中に穴を掘り、柱状に固化材を流し込んで人工の「杭」を作る工法です。
・鋼管杭工法
もっと深くまでしっかり支える必要がある場合は、鋼製の管(パイル)を打ち込む工法が使われます。非常にやわらかい地盤や、ビル・大型建築物にも用いられます。
地盤改良の注意点としては、改良工事が終わってしまうと、その中身をあとから確認するのが難しいという点です。つまり、最初の地盤調査と工事の精度が、その後の住宅の安定性を大きく左右します。
そのため、「どんな工法で行ったか」「どの会社が施工したか」など、きちんと記録を残しておくことも大切です。
地盤改良は、住まいの「表からは見えない」部分ですが、実は家づくりの中でも特に大切な要素のひとつです。
一度きちんと改良しておけば、住んだあとに起きるトラブルや修繕のリスクを減らすことができ、将来的なコストの軽減にもつながります。分譲地や注文住宅を検討されている方は、「地盤の状態」にも目を向けてみてください。
そこには、ご家族がずっと安心して暮らせる住まいづくりのヒントが詰まっています。